現代の冠婚葬祭の基礎は、主にバブル時代に定着したものがほとんどです。そのため景気が悪くなっても式で渡すお金はバブル時代と同じですし、式に掛かる料金も大して変わっていません。また、人口も少なくなっていく時代ですが、コストは昔と比べてずっと高くなっているのです。この記事では、今後時代に対応していかなければならない葬儀業界の変化や増えていく新たなサービスなど、葬儀に関するアレコレについて紹介していきます。
コロナ禍で進む少人数化
もともと葬儀には家族葬や少人数用のプランが存在していました。しかし、少人数で行う葬儀の需要は現代と比べて小さく、会場費も割高になってしまいます。少子化に加え、人と人とのつながりが希薄になりがちな現代では年々少人数での葬儀需要が高まっているのが現状です。コロナウイルスの拡大により蜜を避けるようになり、さらに需要が高まり家族葬の割合が急激に増えています。以前は割高だった少人数での葬儀も、需要が増えたことで料金の値下げに対応できるようになりました。また、高齢者でも簡単に式に参加できるよう、トラックを使った移動葬儀が全国で増え始めています。
コロナウイルスの感染拡大により多くのことが見直され始めていますが、葬儀会社もそこに含まれており、生き残るためにユーザーに寄り添う形をとるようになりました。参列者が少ないと小さな会場で行えるため、料金も少なくて済みますし、蜜を作らないためコロナウイルスに感染する心配も減ります。
できるだけ負担を少なくする
少人数化でも、会場によっては大人数と同様の会場費を負担しなくてはなりません。今まで繁盛していた大きな会場を持つ葬儀会社も、家族葬を行いたい方向けに小さな会場を作ったり、リフォームしたりしています。多くの先進国はここ20年で物価が上昇した代わりに賃金も同程度上昇しました。しかし、日本では物価こそ高くなったものの賃金は横ばいです。バブル時代に定着した数万円の香典金額も、現代では払うことが困難な方が増え始めているため、中には遺族が金額を減らすよう参列者に通達しているところもあります。
そんな現状から、葬儀やお通夜で出す食事の料金を下げたり、祭壇の飾りつけをシンプルにして遺族の負担を少なくするプランが続々登場するようになりました。それでも高いと思う方が多いのが現状で、葬儀会社はもっと負担を減らすプランを考えなければ利用者が低下するだけです。簡単に言えば、小手先だけのプランでは利用者を増やすことは難しいということになります。
さまざまなタイプの葬儀
上記で紹介した少人数用の葬儀や家族葬に特化した会社の出現だけでなく、葬儀にかかる時間を縮小したり、葬儀会場は省いて火葬場で行うタイプが登場しています。また、コロナ禍で注目され始めたのが移動葬儀車です。トラックの荷台に葬儀スペースを設け、入り口と出口を分けることで人と人との接触をなくすことができます。さらにトラックを止まられるスペースを確保できれば、基本的には場所を選ばないため歩くことが困難な高齢者も参加することが可能です。
故人の趣味嗜好に合わせた葬儀もできるようになってきています。以前は決められた流れに沿って行われることがほとんどですが、多様化が進む現代では遺族や故人の遺志を尊重したほうが偲ぶという点から考えると、ある程度自由にプランを決めることができたほうがいいと思う会社が増えてきているのです。
結婚式の演出をお金が許す限り主催側が決められることを考えれば、葬儀も遺族側がある程度考えてもいいのではないでしょうか。
間違った葬儀のマナーを正す
葬儀に礼服や喪服の着用が一般化しても、光沢のある素材や髪の毛の色は制限があります。しかし、航空業界を退職したCAがマナー講師となり、航空業界でしか通用しないマナーや創作マナーなどをテレビや雑誌などで紹介した結果、間違ったマナーが定着しだすようになりました。創作マナーの一部に、葬儀に持っていくバッグは革製を避けるというものがあります。現代で革製でなく光沢のないバッグを持っている方は少数で、このマナーを守るために新しく新調しなくてはなりません。
マナーというものは時代で変化しますが、マナー講師による創作マナーは一部の葬儀会社によって否定されています。靴下の色やバッグの色、髪型など創作マナーを公式ホームページやブログで否定するようになりました。それでもまだ浸透していないため、大きな葬儀会社ほど間違ったマナーをメディアを利用して正す必要があるのです。葬儀1つに多くのマナーを増やせば、参列者が窮屈になってしまいます。
まとめ
昔は常識だったことが、現代では通用しなかったり、中には法律で禁止されたりしているものも存在します。コンプライアンスや法改正で仕方なく変更したルールやマナーはどうしようもありませんが、遺族や参列者の負担を減らすことは、葬儀会社が方針転換することで簡単に変えることが可能です。当然利益の問題もあるでしょう。しかし、会社が提供するプランや運営する会場を少しでも多くの方に使ってもらうためには、一時的なコストカットや安価なサービスの追加は必要なのではないでしょうか。