告別式の中では故人の火葬式が執り行われることになるわけですが、火葬式は行政が運営を行っているところを利用して行う必要があります。このような葬儀に参列された経験を持つ人も多いかと思われますが、火葬場の火葬炉の仕組みがどのようになっているのか、これを知っておくともしものときにも役立つ、基礎知識を抑えておけばいざというときに役立つかもしれませんよね。知らないことを覚えることは、意外と楽しいものではないでしょうか。
そもそも火葬炉とはどのような設備?
火葬炉は火葬場に設置されている装置の総称、そして火葬場に設けてある設備の中心となるものです。遺体を火葬するための炉のことを火葬炉と呼びますが、火葬場は火葬炉と炉前室や骨上げを行う収骨室(火葬炉の正面に設置してある専用のテーブルなども収骨室と呼びます)、そして最後のお別れを行う告別室などの構成になっているのが一般的です。
ただ、大規模な火葬場になって来ると、お通夜などの葬儀も併せて行うことができる葬祭場・霊安室・売店やカフェ・レストランなどが併設されている施設もあり、一つの会場だけでお通夜から告別式・火葬までを一貫して執り行うことができるメリットがあります。なお、火葬にかかる時間は1時間から2時間などといわれており、参列された人は一旦休憩室などに集まり、そこでお茶やお菓子を食べながら故人を偲ぶ、親戚が集まる機会でもありいろいろな話をしたり故人の火葬が終わるまでそこで待機する形になります。
地域の慣習によっては、柩を火葬炉に収めると全員が帰宅するところもある。先に火葬場で火葬を行い焼骨での葬儀告別式を行う、いわゆる「骨葬」が行われている所もある。
https://www.tama-100.or.jp/cmsfiles/contents/0000000/470/2.pdf
火葬炉には大きさによる規格があります
火葬場に出かけると、火葬炉の入り口が複数用意してあり混雑しているときなどは全ての火葬炉が使用中になっていることも少なくありません。入口は観音扉になっていたり上下にスライドするような形になっているなど色々な設備があるようですが、入口の扉をあけるとそこには火葬炉内部があり、故人を火葬するときには代車に棺桶を乗せ運び、入口部分で棺桶だけを内部に入れるといった作業を火葬場のスタッフさんが行い、棺桶を収納し終えた後は扉を閉じてスイッチを押すなどの動作を見ることができます。
また、この火葬炉の入口の扉は大小様々なサイズがあるのですが、一般的には標準型炉・大型炉・小型炉といった3種類が用意してあるのが特徴です。大型炉は標準炉では収めることができない大きな体格をされていた人の火葬を行うときに利用する、小型炉は逆にお子さんや胎児などをはじめ体の一部分だけを火葬するさいに利用するサイズといわれています。
標準炉と大型炉の大きさは火葬場により異なる
標準炉と大型炉、この2つを用意している火葬場は多いようですが、実はこれらのサイズは火葬場により異なるといわれています。例えば東京大田区にある臨海斎場の火葬炉は、台車式で10基の火葬炉の中で2期は大型炉といわれています。棺桶のサイズは標準炉では、長さ195cm・幅56cm・高さ48cmになりますが、大型炉では長さ225cm・幅66cm・高さ60cmです。このサイズは棺桶の外側部分のものになるので、棺桶の板の厚みを考えると内部はもう少し狭くなる計算です。身長が190センチを超えるような人などでは、長さ195cmの棺桶では少々窮屈などからも少し大きなサイズのものを利用した場合は標準炉に入れることができませんので、これよりも大きなサイズの炉での火葬といった流れになるわけです。
愛知県の岡崎市にある岡崎市斎場の火葬炉は、14基が用意されていて標準炉は11基で動物専用の炉が1基あるといいます。こちらの斎場の火葬炉は、大田区のものよりも大きく長さだけでも2メートル(標準炉)と2.3メートル(大型炉)などの違いがあります。
火葬炉の種類は代車式とロストル式の2タイプ

火葬炉は、台車式とロストル式の2タイプにわかれているといいますが、台車式は国内の斎場で多く採用されている方式ですが、台車式は設備コストが高いことや燃焼時間が長くなるなどの特徴があります。一見メリットにはならないように考える人も多いかと思われますが、台車式の場合は遺骨がきれいな形に残せることや火葬の際の匂いがロストル式と比べると少なく現代の斎場の主流になっているようです。
火葬炉は800~1,200度の高温度で燃焼が行われるといわれているのですが、炉の温度があまり高すぎてしまうと遺骨が残らない、逆に低すぎると大きな骨が燃え残るなど温度調整はとても重要な作業になるのではないでしょうか。なお、火葬中の状況は火葬技師と呼ぶ専門家が窓から内部を覗いて燃焼具合の確認を行い、火力の調整を行っています。代車式の火葬炉は遺骨を安置してある棺桶を代車ごと燃焼させる仕組みを持ち、火葬が完了すると遺骨は人体の形になるように残るなどの特徴があります。
まとめ
火葬炉は火葬式には欠かすことができない存在、専門のスタッフさんが棺桶を火葬炉内部に入れる、入口の扉を閉めるとスイッチを押して完了するまでは控室で待機する形になります。火葬炉内部の温度は800度以上になる、火力の調整は火葬技師と呼ぶ専門家が火葬炉の裏側から内部を確認して行うのが特徴です。焼きあがった遺骨は天板ごと内部から引き出され、遺族などにより収骨を行う、骨壺に安置するための前室も用意されているのが特徴です。